Paradise Gate〜火焔の章〜
薪原あすみ
要ナレーション
隆海(りゅうかい)…人神(ひとがみ)の一人。
東の方角と海を司る。外見年齢28歳・男
琥珀(こはく)…人神の一人。西の方角と風を司る。
外見年齢22歳・男(女性が演じても可)
鳳炎(ほうえん)…人神の一人。南の方角と火を司る。
外見年齢24歳・男
犀幻(せいげん)…人神の一人。北の方角と川(淡水)や大地を司る。
外見年齢26歳・男
火焔(かえん)…鳳炎の眷族(けんぞく)。人界では紫星と縁が深い。
外見年齢15歳・男(女性が演じても可)
燐火(りんか)…鳳炎の眷族。そして元・情人。
外見年齢24歳・女
悠俊(ゆうしゅん)…麒麟の眷族であり、その言葉を代弁する者。
外見年齢23歳・男(女性が演じても可)
紫星(しせい)…神界の住人。
人神の監視役。外見年齢25歳・男(女性が演じても可)
――――――――――――――――――――――――――
鳳炎「おまえに、火焔(かえん)という名をさずける」
火焔「…火焔?」
鳳炎「導師(どうし)に聞かなかったか?
出会ったあかしとなるものを与えられ、
名をさずけられることが何を意味するかを」
火焔「…………」
鳳炎「月人(つきひと)で俺の眷族(けんぞく)としておまえの
お披露目の儀(ぎ)を行う。
身支度を整えたら上層に向かう門のところへ来い。
出来上がった絵を持って…それで赤い鳥の絵を描くんだろう?
木枠(きわく)に張った布にさして」
火焔「…どうして、それを」
鳳炎「以前おまえが連れていた者に言っていただろう。
俺のもう一つの姿を描くのなら、上手に描いてくれよ。
一度だけ、本物を見せてやるから」
火焔「あ…!」
天上界には、人として生まれ変わらないことを条件に特別な力を与えられた者達がいた。
彼らの名は、隆海(りゅうかい)、琥珀(こはく)、鳳炎(ほうえん)、犀幻(せいげん)――。
永遠に自由な…美しい煉獄(れんごく)にとらわれていた彼らは、
次の生を待つ人間に持て余している力の一部を与え…
眷属(けんぞく)としてしたがえることで退屈をまぎらわせていたのである。
また、次の生を待つ人々にとっても、眷属に選ばれることは一つの夢ですらあった。
もっとも、それは非常に稀(まれ)なことであったが。
隆海「ところで、今日鳳炎がいないのは何故だ?
酒の席には必ずと言っていいほど顔を出す奴が」
琥珀「…用があると言って下層に向かっていたな」
犀幻「もっと酒をくれないか…ああ、そういえば鳳炎の女が
人界(じんかい)に下りたそうだ」
隆海「…またか。これで何度目だ?」
琥珀「アイツのお相手探しが始まるな…もしや、
その為じゃないだろうな下層に降りたのは」
隆海「十中八九(じゅっちゅうはっく)そうだろうな。
ほら犀幻、新しい酒だ。…ところで、この間おまえが
見つけたと言っていた黒髪の少年は…
眷属に選ぶのか?」
犀幻「それがな…声をかけようとした俺の目の前で
“憧れの人神(ひとがみ)さま”の話を始めたんだ。
あの少年…連れに対して何て言ったと思う」
琥珀「さあ? 誰の名前が出たんだ?」
犀幻「…鳳炎だ。会えるなら、眷族になれなくても
いいから鳳炎に会いたいと」
隆海「よっぽど悔しかったんだな」
犀幻「…だけど俺も素直には引き下がらなかったさ。
今度捕まえたら絶対に逃がさないよう、印はつけておいた」
隆海「さすが犀幻、抜け目がない」
琥珀「ところで賭けをしないか?」
犀幻「何の賭けだ?」
琥珀「犀幻がその少年を眷族にするのと、鳳炎に
新しい情人(じょうにん)が出来るのとどちらが先か…」
隆海「賭けにならん。鳳炎が相手を欠かしたことがあるか?」
琥珀「いや…」
犀幻「ないなあ、確かに。しかし普通は、こんな世界のように
充たされ過ぎると欲なんて無くすような気がするんだがな」
琥珀「いや、本当に欲しいものが手に入らないのに
別のものを与えられても充たされないんじゃないのか?」
隆海「それは分かる。もっとも鳳炎ほど別の何かで
充たそうとは思わないが」
犀幻「一番の堅物(カタブツ)だといわれてるおまえさんの口から
そう聞くとは思わなかった!」
隆海「堅物とはひどいな。私にも欲しいものはある」
琥珀「…………」
犀幻「ほう、一番眷属が少ないものの精鋭(せいえい)が揃ってる
おまえの次に狙う相手ってのは?」
隆海「眷属になぞ従えられる相手じゃない」
犀幻「…ってことは、相手の立場の方が上ってことか。それとも同等か」
隆海「さあな」
犀幻「おまえって奴は、一見堅物で実直に見えるが…
実は一番食えない男だよな」
燐火「気が濃いわね、鳳炎」
鳳炎「…燐火(りんか)」
燐火「下層(かそう)で力を使ったってことは、新しい眷族でも見つけてきたの?」
鳳炎「…ああ」
燐火「じゃあ、もうすくお披露目なのね。間に合って良かったわ」
鳳炎「戻ってくれるのか? 俺のもとに」
燐火「…あなたの情人(じょうにん)には戻らないわ。眷属ではあり続けたいけど」
鳳炎「燐火…」
燐火「あなたのそばにいて心をすり減らすのはもうイヤなの…
嫌いにはなりたくないもの」
鳳炎「ずっと昔、同じようなことを誰かにも言われた覚えがある…」
燐火「…みんなきっとそう思ってあなたの元を離れていくのね。
どうか今度は間違わないでね。鳳炎」
鳳炎「眷族に火焔という名を与えた。数日中にお披露目の儀を行うつもりだ。
……麒麟が何か言いたげだな、悠俊(ゆうしゅん)」
悠俊「麒麟は運命が狂い、混乱が起きる…と」
鳳炎「…こんな退屈な世界の、運命? たかが眷族一人に乱されるような、
そんなもろい世界なのか…?」
悠俊「秩序を乱すのは、あなたと…そして選ばれた者」
鳳炎「そんなことを言うのなら、最初から認めなければいい! 眷族も、人神も!」
悠俊「人神の存在は、神界の者でさえ否定できない。
人神もまた、己を否定することは許されない」
鳳炎「…犀幻の印を持った者を、俺の眷族にしたことが原因か?」
悠俊「彼の者は、いずれ誰かの眷族になっていただろう。
人神だけでなく…神界にも縁のある者ゆえに」
鳳炎「もとより上層に在るべき魂だったのか…やっぱりな。
それで火焔に縁がある神界の者というのは、誰なんだ?」
悠俊「…紫の、星…」
鳳炎「紫星(しせい)か。面白いことになりそうだな」
火焔「…遅いな…鳳炎。この羽根で書いた絵、早く見せたいのに」
紫星「久しいな、千歳(ちとせ)」
火焔「あ…義成(よしなり)!」
火焔「こっち(天上界)で顔を合わせるのは、これが初めてだね」
紫星「ああ、確かに…だが不思議なものだな。
顔は知っている者と違うのに
魂の波長でおまえだと分かるとは」
火焔「…義成、ここではなんていう名前?」
紫星「紫星という。人神(ひとがみ)の監視役だ」
火焔「…神界(しんかい)の人?」
紫星「ああ、そうだ。ところでこれは私からの贈り物だ。
火系の力というものは、強くなればなるほど己の心身をも消耗する。
それを少しでも和らげられるように」
火焔「あ、つけてくれるの?…ありがとう」
(SE・耳飾りの揺れる音)
紫星「……では、私は先に上へ」
火焔「うん! また月人(つきひと)で会おうね」
紫星「ああ」
火焔「あ…! 鳳炎、やっと来てくれた」
鳳炎「紫星と、知りあいだったんだな…火焔」
火焔「うん。まさか神界(しんかい)の人だと思わなかった…あ、これ…」
鳳炎「ん…?」
火焔「絵が、出来たの。鳳炎の、羽根で描いた…」
鳳炎「…後で見よう」
火焔「あ、うん……。あ、そうだ…本当に鳳炎のこととかヒトガミのことを
呼び捨てにしてもいいの? これから」
鳳炎「ああ、それが星佳(ほしか)より上に住む者のオキテだ。眷族とはいえ
他人にひれ伏す必要はないんだ」
隆海「ああ、もう来ていたのか鳳炎」
鳳炎「…ああ」
隆海「ん? その少年の耳に光ってるのは…紫星の耳飾りか」
火焔「はい! 義成…あ、紫星が」
隆海「ははは…紫星は“義成”と呼ばれていたことがあるのか。
似合うな…確かに」
鳳炎「…隆海、紫星に伝えておけ。人神の“所有物”に手を出すなと」
隆海「…鳳炎」
火焔「…鳳炎?」
鳳炎「火焔、行くぞ」
火焔「う、うん…」
犀幻「隆海…」
隆海「…ん? ああ、おまえも来たのか」
犀幻「たった今な…俺はあんまり執着心はないほうだが…初めて思ったぞ。
印をつけたことだけで安心せず…早く眷族にしていれば良かったと」
隆海「…! そうか。あの少年が…おまえが仮印(かりいん)をつけたという者だったのか」
犀幻「…鳳炎のあの執着ぶり。次の情人はあの少年か…」
隆海「お披露目の儀は明日だな」
犀幻「下層から連れて来られた者は、上層の…特に月人(つきひと)の
張り詰めた気…神界に一番近い状態にある階層に、すぐにはなじめないからな。
まあ、仕方ない…惜しいが火焔の儀式を見届けるしかないな」
隆海「まあ、自分の眷属じゃなくとも同じ階層で会えるじゃないか。いくらでも」
犀幻「…ところで琥珀は来てないのか?」
隆海「いや、見てないな。奴も気まぐれだからな…来るかどうか分からんぞ」
鳳炎「今日はここで身体を休めてから、明日の儀式に備えるんだ」
火焔「…あれ?」
鳳炎「どうした…?」
火焔「身体が…きつい」
鳳炎「そこに座って、腕を出してくれ…」
火焔「あ、うん…」
鳳炎「…このホクロは犀幻の仮印(かりいん)か…少し熱いが、我慢できるな?」
火焔「…うん。下層の導師から儀式についても少し聞いてるから…体感だけだけど、
炎に巻かれるみたいな熱さがあるって。だから…それに比べたら少し熱いのくらい平気」
鳳炎「そうか…じゃあ、眷族の印をつけるぞ」
火焔「…………っ!!」
鳳炎「熱いか?」
火焔「…へ、平気…。だけど、本当に…身体の感覚感じるのって久し振り」
鳳炎「ああ…下層にいる時は肉体という概念(がいねん)がないからな」
火焔「うん。それは導師に聞いてた。でも本当にこうなってみるまで
わからな…あ、痛っ」
鳳炎「…よし。これで、いい」
火焔「あ、少し楽になった…あれ? 並んでたホクロの一番端が消えてる」
鳳炎「…よし、決めた。俺の眷族なのに…他のやつの気配が見え隠れするのは
気に入らない」
火焔「……鳳炎?」
鳳炎「火焔、こっちへ来るんだ」
火焔「え? う、うん…」
鳳炎「俺の後について来い」
火焔「…うん。あ、待って…鳳炎」
長い廊下を抜け、辿り着いた先は…本来ならば身体を休めるための場所。
翌日の儀に備え、眷族となる者を眠らせるための――――。
鳳炎「ここはおまえを眠らせるための部屋だが…夜までにはまだ間がある」
火焔「…………」
鳳炎「大人しくしていれば、おまえは目覚めたとき何者にも負けない力を得ているだろう」
火焔「…鳳…炎…?」
鳳炎「俺を…恐れるな」
火焔「ほぅぇ……」
まだ慣れない肉体の感覚に、翻弄(ほんろう)されながら
寝台(しんだい)へ崩れ落ちる。
火焔「…アツ…イ。熱いよ、鳳炎…」
鳳炎「…大丈夫だ、火焔」
…大人しくしていろと言われたが、次から次へ襲い来る感覚の波に飲まれ…
抗うことも出来なかった。ただ、すがるように鳳炎の背中に手を回す。
そうしていれば、自分がここにいることを確かめられるような気がした。
隆海「…やはりここでしたか、紫星。月人を一望できる、この場所…。
あなたはここがお好きでしたね」
紫星「隆海か」
隆海『紫星、そんなにも火焔を失うことが…俺を、振り返りもしないほど』
紫星「……(溜息)」
隆海「紫星…鳳炎が、自分の所有物に手を出すなと…
あなたに伝えろと言っていた」
紫星「…! …馬鹿なことを言うものだな、鳳炎も」
隆海「やっと振り返ってくれましたね…だが悠俊が言っていた。
あなたがいずれ…あの少年を眷族に迎える準備をしていたと」
紫星「…それは事実だが、あの者は私よりも鳳炎との縁のほうが
強かったのだ。ただ、それだけのこと…」
隆海「…そう言えば、少年から聞きました。あなたの人界での名前の一つを」
紫星「ふっ…。あれは相変わらず…お喋りで、跳ねっ返りだな。…いつのときも、
あれは私ではなく別の者を選んだ。やはりそういう運命なのだろう。
だからせめて贈り物をと思ったのだ…」
隆海「紫星…」
紫星「…もっとも、先に裏切っていたのは私のほうかもしれない。
そうは思わないか? 隆海…」(自嘲気味に)
隆海「…そんな顔をしないで欲しい。あなたが裏切ったんじゃない。
俺があなたをそそのかしたんだ」
紫星「…隆海」
隆海「紫星…あなたを、ずっとこの腕に抱きたかった」
紫星「…私を、強く抱き締めてくれ…隆海。もう、心が揺らぐことなどないように」
鳳炎「疲れたんだろうな…火焔」
火焔「(寝息)」
鳳炎「身体を清めてくるか…俺も疲れたな。身体が重たく感じるほど
力を暴走させたのは久し振りだ。それなのに、何故こんなに後味が悪いんだ」
(SE・扉を閉める音)
燐火「あなたがそんな顔をするなんてね」
鳳炎「…また、おまえか。燐火」
燐火「明日、新しい子の世話をさせてもらうわ。そのためにここへ来たの」
鳳炎「…そうか。じゃあ頼んだぞ」
燐火「ええ、任せて」
鳳炎「…燐火。俺はまた、間違えたかも知れないな。火焔には眷族として
その身に余る力を与えてしまった」
燐火「あなたは今まで、自分の間違いを自覚したことなんてなかったでしょう?
自分で分かったのならそれでいいのよ…。ところであの子は寝室?」
鳳炎「…ああ」
火焔「んん…。鳳炎…」
火焔は何かに呼ばれるように、寝台から身を起こした。
火焔「あれ…?」
身体と心の違和感は、もうない。それどころか…何かが溢れ出すように
身体中にみなぎっている。
火焔「なんだろう、この…力」
自分の手のひらから発する気を確かめようとして…下を向いた時、
火焔は自分自身に起こった変化に気付いた。
肩までしかなかったはずの髪が、胸の辺りまで伸びていたのだ。
火焔「あ…長さだけじゃない、髪の色まで紅くなって…」
その時、寝室の扉が開けられ…一人の女性が姿を見せた。
燐火「あ、目が覚めたのね…」
火焔「…! あ、あなたは?」
燐火「沐殿(もくでん)で身体を洗っていらっしゃい。儀式の支度は
私がしておいてあげるわ」
火焔「あなたは…私と同じ鳳炎の眷族? あ、そういえば鳳炎は?」
燐火「彼は先に本殿(ほんでん)にいるわ。そうそう、それから…あなたは火焔って言う
名前だそうね。私は燐火よ」
火焔「……(安心したのと、心細さから泣き出す)」
燐火「大丈夫よ…慣れない場所で淋しいかもしれないけど、私たちはみんな
あなたを歓迎してるわ」
火焔「燐火さん…」
燐火『鳳炎…相手が心細いと感じているときにこそ、そばにいてやるべきなのに』
沐殿の場所を教えられ、そこで身体を清めた火焔は…
屋敷の出入り口に一番近い部屋…鳳炎から聖印を与えられた場所に向かった。
そこで待っていてくれた燐火に、火焔は長くなった髪を結われ…
額や手の甲などに文字のようなものを紅で書き込まれながら
儀式について何をすべきかを聞かされる。
燐火「本殿の真ん中で、片膝をついて…目の前に立つ鳳炎と心を合わせるの」
火焔「はい」
燐火『鳳炎から情人になるよう言われた時は眷族に選ばれたことよりも
もっと嬉しかった…それなのに』
燐火「あなたを信じてるわ。火焔…あの人を…鳳炎をお願いね」
火焔「…燐火?」
燐火「……………」
もう、彼女はそれ以上何も言わなかった。
準備を終えた火焔は、燐火に連れられて本殿へと向かう。
その途中…紫星を見かけ、火焔は思わず嬉しそうに駆け寄った。
火焔「…紫星!」
紫星「…千歳…いや、火焔か?」
火焔「あ…うん。少し変わっちゃったから…わからなかった?」
紫星「いや…少し驚いただけだ。…儀式を楽しみにしている。
おまえが、鳳炎の良き眷族となるように」
火焔「紫星…」
紫星「……では」
火焔「……紫星」
燐火「火焔、もう行くわよ」
火焔「あ、燐火。はい…」
本殿では、鳳炎が正装に着替え火焔を待っていた。
犀幻「おい、あれが…火焔か?」
隆海「昨日とはまるで別人だな…。あの様子からするにもう、
あの少年は鳳炎の情人か」
犀幻「よほどの力を注いだようだな。あれだけ強い力を持った眷族が
他に居るんだろうか。それも儀式以前に…」
隆海「鳳炎…一体何を考えて…」
犀幻「もう、始まるぞ。しかし結局…琥珀は来ていないようだな」
悠俊「天の祝福を…鳳炎の新しき眷族に」
鳳炎「火焔、俺の“気”に己(おの)が心を合わせるがいい」
火焔「はい」
鳳炎「今、新たなる眷族をわがもとに迎える。炎の両翼(りょうよく)よ…
火焔に力を与えよ」
火焔「……あ…ぅ!」
火焔は気を同調させたその瞬間に…通常の眷族では考えられないほどに
激しい炎の幻影を見せた。
犀幻「…いまだかつて見たことがないぞ。こんなに派手な儀式は」
隆海「…ああ」
紫星「…眷族には荷が勝ちすぎる力だな。もっとも火焔は…
それだけの能力を受け入れることが可能だったとは思うが」
隆海「紫星…神の座に行かなかったのか?」
紫星「…ああ。幻影とは言えあんなにも強い炎に巻かれる千歳(ちとせ)を
とても間近では見ていられなかった」
犀幻「…何か…波乱の予感がするな」
過ぎた能力を与えられた眷属というのは…平穏であるべき場所に
あまり歓迎される存在ではなかった。
それぞれの誤った選択が…小さな歪みを生んだ。
やがてそれが大きなうねりとなって天上界を揺るがすことになるのだが…
それはまた後の話となる。
FIN