避暑地の恋人

雨が降るわ
流れる風に予感がしたの
髪に湿りを打ちつけていく
これで夏も終わりかしらね
駆け込んだログハウス
街へ帰るあなたの為に
私が昨日まとめた荷物
ついては行かない
待つつもりも
この避暑地は冬も素敵よ

「海が見たい」
最後の願いに車走らせ
雨に煙る灰色の空
これが夏の後姿ね
もう肩を抱かないで
街へ帰るあなたの為よ
私をここから連れ出す人は
あなたじゃないの
誘わないで
この避暑地の秋は素敵よ

あなたが私を初めて見たのは
夏の始まり
海を見ていた横顔だった
見つめ合って恋が始まり
明日からは背を向ける
帰る人を送りはしない
振り向かないでね私の背中
とても悲しい夏の残像

 

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